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巻 頭 言 |
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南遊の会 代表 藤本 潔
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早いもので、今年で3回目のスタディーツアーの実施となりました。春先の鳥インフルエンザの流行でその影響が心配されましたが、参加者も順調に集まり、大過なくツアーを実施することができました。これも、日頃から物心共に一方ならぬご支援ご協力をくださいました会員の皆様、ツアー直前まで現地でその準備に奔走された前代表の石丸さん、新たに現地駐在員としての役割をお引き受けいただきました浅野さん、それにカンザー森林組合やホーチミン市農業農村発展局、ホンバン大学などの現地での受入準備にご協力くださいました皆様のご理解とご支援の賜物と感謝しております。まずはこれらの方々に改めて御礼申し上げます。
また、今年はJICAの「草の根技術協力事業」への申請が採択され、8月にはその事業委託契約が交わされたことで、南遊の会がホーチミン市農業農村発展局と結んだ50haの再造林プロジェクトを資金的にも2007年7月までの3ヶ年で完成させる目処がたちました。この契約にあたり、多くのご助言と励ましの言葉をくださいましたJICA中部の皆様にも、この場を借りまして改めて御礼申し上げます。
さて、植林事業というものは、植えて終わりというものではありません。森が育っていく過程を責任を持って長い目で見守っていく必要があります。その第一歩として、昨年は一昨年に植林を行なった場所に、今年は昨年植林を行なった場所にその成長過程を観察するための「長期モニタリングプロット」を設置しました。これらのプロットにおける今年の調査結果では、一昨年の植林地では約90%、昨年の植林地では100%の苗が生存しており、いずれも順調に成長していることが確認されました。
来年度は、スタディーツアーでの植林に加え、現地森林組合と現地の方々の手によって合計19haの植林を実施する予定です。これらの事業を通し、日本およびベトナムから参加する若者や現地の方々が、森を造ること、環境を守ることの意義や大切さを学ぶと共に、互いの文化や考えかたを尊重し合い、末永く交流が続きますことを祈念いたしまして巻頭の言葉に代えさせていただきます。 |
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2004年12月 |
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《 も く じ 》 |
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ツアーの感想
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浅井 徹 |
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今回、スタディーツアーに参加をして得るものが大きく2つありました。
まず、ベトナムの地でマングローブの植林をしたということです。ベトナムという日本から遠く離れた地で一生懸命汗水たらして植林をした木が、このままうまくいけば成長し自然がもとの状態へ戻っていくということ、とても素晴らしいことだと思います。そして、自分も一部として協力できたことは大きな経験となりました。
次に、ベトナム学生との交流です。正直、行く前はうまく接することができるのか不安でした。しかし、そんな不安はすぐに吹き飛びました。日本語を勉強していることもあり、言葉の問題があまり無く意志疎通がうまくいったということもありますが、ベトナム学生の性格がとてもよく楽しく過ごす事ができました。ベトナム語に興味をもって少しでも覚えようとしていた私に、親切に教えてくれました。変な言葉もいろいろ教えられたりもしましたが…この出会いは自分にとって大きな財産です。
食べ物はとてもおいしく、ベトナム観光や買い物、小・中学校での生徒との交流など、旅行としてとても充実していて、どれも大切な思い出になりました。 |
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中村 美智子 |
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日本に帰ってきて7日がたちました。
帰国してしばらくはカメラで撮った写真以上に私の足の先から頭の先の全てがベトナムでの思い出を鮮明に綴った写真と化していました。
植樹体験や植樹後の成長度合いの追跡調査をする中で、壊してしまった自然を元に戻すためには多くの人の力による大変地道な作業の繰り返しが必要であり、それと同時に長い時間をかけてその後も植樹したマングローブの姿を見守り続けることが必要であることを学びました。
そしてベトナム学生と寝食を共にし、言語の壁を越え、皆が協力し何かをやり遂げたという達成感を共感しその喜びを心の底から分かち合うことのできる友と出会えたという感動は計り知れないものがありました。第三回南遊の会ベトナム植林ツアーは溢れんばかりの笑顔と眩しく輝く汗と感動の涙の中で幕を閉じました。
今まで経験したことのない達成感、これほどまでに分かち合ったことのない喜び、心地よい疲れ、体で体感した全てを私たちひとりひとりが大切な宝物として日本に持ち帰ってきたと思います。
私自身多くの人たちに助けられ支えられどんな状況でも負けずに逃げずに立ち向かえたことは、本当に精神的・肉体的成長に繋がったと思います。このような素晴らしい経験をする機会を与えてくださいましたことにこの場を借りて心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
わたしたちが築きはじめた友情の樹マングローブの森を、そしてかけがえのない友との出会える感動を多くの人に見て聞いて体験して欲しいと思います。 |
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ベトナムのともだちと森 |
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中野通子 |
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今回のベトナムへの旅は私にとって初めての東南アジアへの旅でした。
初めて降りたったベトナムはその暑さに驚いたけれど、それ以上に人々の熱気に圧倒されました。道路を左右斜めにと行き交うバイクや、初めて見る色とりどりのフルーツが並ぶ露店などどこも活気にあふれていました。
またベトナムの人の優しさに触れたられたこともいい思い出となっています。ホンバン大学の学生との交流は私にとってとても貴重な体験となりました。
植林活動においては実際に行うことで初めてその苦労がわかりました。強い日差しが照り付ける中、足場の悪い現場での作業は想像をはるかに超える大変な作業でした。
最初に植林現場を見たときにはあまりの広さに気が遠くなりましたが、2日後には何とか一面に植えることができました。
これはベトナムの学生との協力がなければ成し得なかったとことだと思います。
全て植え終わったときにみた一面のマングローブは苦労した分とてもきれいな緑に見えました。
私たちが植えることができた木はわずかですが、この活動によりベトナム人学生と日本人との交流の輪が広がったことはとても意味のあることだったと思います。これからも毎年この交流が続き、この交流の輪が広がると共にカンザの森も育っていくのが楽しみです。 |
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今年もカンザへ |
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丹羽 武 |
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なぜ、私がこんなにHCM市カンザーへ行くのかというと、観光旅行とはひと味違うスタディツアーにどんどん魅力を感じるからである。
それは、マングローブ植林による「日越青少年交流の森」つくりに参加し、植えたマングローブの生長を確認しに行くこと、ベトナムの学生を主として人々との出会い、交流による自己再発見、そしてHCM市などの年ごとの変化を見ることと、私にとって異文化をいろいろ知ることが楽しいからである。
今回はスタディツアーの団長としての参加であった。とくに何もしたわけではないが、二度のツアー参加の経験から、引き受けたのであるが、ツアーはやはり外国であること、デルタ地帯の森林の作業と言うことで、「事故のない、安全の確保」風土の違いによる「体調維持」そして参加者全員が「参加してよかった、いい経験ができた」という達成感を目標とした。
・タンソニャット空港到着
我々のベトナムへの第一歩となる空港に到着「今年も来た!」という実感が湧いてくる。今まで真夜中の到着であまり周辺の景色をよくわからなかったが、空港内もキレイに整備されていて、感じがよい。入国審査、税関のチェックもスムーズである。「南雄の会」のネームプレートが目にとまったのか愛想もいいし、何か親切になった印象である。
一歩外に出る。
今年は石丸前代表が体調を崩され、現地のいろいろなことが心配だった。ロビーで新たにベトナム駐在として南遊の会をサポートしていただくことになった浅野さん、ガイドのタンさん、そして昨年のベトナム、ホンバン大学の学生に出迎えてもらい、ほっとするとともに、心配も吹き飛ぶ。
今年もよろしく
・HCM市について
HCM市内の変化はスピードが速い。市内交通の主流はやはりバイクだが、車の増加も著しい。でもガソリンスタンドが見あたらない、石油はベトナムでも多く産出しているはずなのに。
市内の観光客、ビジネスマンの移動はタクシーであるが、そのタクシーにワンボックスカーが多くなっている。経済の発展につながっている様子。
今年のホテルの前はファン・グー・ラオ通り。なごやの久屋通りのように整備が進んで一大公園、早朝から市民、観光客(私たちも)がバトミントン、太極拳、ウーキング、ジョギングと様々なスタイルで楽しんでいる光景を見て、市内のインフラ整備もさることながら、市民が生活を楽しむ余裕の表れか。ふと、最後の夜のサイゴン河クルーズディナーが目に浮かんできた。
スバラシイー!
・マングローブ植林(カンザーへ)
8月19日朝、ホテルのロビー ホンバン大学の学生さん達と合流、ハイ先生もお元気である。毎回お世話になり、有り難うございます。
一路カンザへ。朝のHCM市内のラッシュは名古屋の混雑など比ではない。バイク、車、自転車、人が混在して流れ、止まることがない。私ではすぐ事故ってしまうであろう。我々の運転手さんは実に見事なハンドルさばきとクラクションのコンビネーションでスイスイ。フェリー乗り場に着きいよいよデルタ地帯のカンザへ向けて、バスで景色が一変する。森林組合事務所へ 道路の拡幅も進んで、所々でエビの養殖池がどんどん増加している。
森林組合事務所のまわりも整備が進み、小学校、苗育成ビニールハウス、遊歩道と一変してきている。森林組合事務所では来所の挨拶に続き、タムさんからパワーポイントを使って、マングローブの森、自然環境保全への取り組み、生態系についてHCM市、カンザ人民委員会の考え方を聞き、マングローブ植林についても大きな期待と理解を得ていること心強く思った。これはHCM市農業村落開発局でも同様であった。
3日間の植林はスコップを持ったことのない人、野外での作業が初めての人さまざまであるが、班ごとに分かれ、穴を掘る人、苗を運ぶ人それぞれ分担、ローテーションを組みながらなかなか順調である。30分もすると汗が噴き出し、結構しんどくなる。(これも年か)言葉がうまく伝わらないときはジェスチャーを入れ、このような単純な作業であるが、足場も悪くあり、棘と障害物もある。このような作業を3日間、1日目は少し難しかったが、2日目からは慣れてきて進めることができた。
最大の関心事はやはりお昼の食事、今年から植林現場でとることにしたが、メニューは暑い盛りであり、野外ということで心配した。1日目はフランスパンで、飲み水も不足して不評。急きょ米飯に切り替えて成功。食事の楽しさを味あうことができた。なんと言っても今年は作業中、スコールに見舞われなかったことが一番。作業現場までのドンナイ・サイゴン河デルタの行き帰り、雄大な景色を見てそれぞれの思いを感じたのではないだろうか。
・さよならパーティ
天候に恵まれたこと、体調不良者も最少で終わったこと、皆気心が分かりかけたと思ったら、時間はまたたく間に過ぎ、さよならパーティとなる。時間を忘れ、交流を深め、女性はアオザイを来てドレッシイー、歌あり、いろいろ感想を出し合って大いに盛り上がったところで、ホンバン大学の学長さんから「日越青少年交流の森」つくりの参加をたたえる認証書とおみやげをいただいた。感動し、なごり惜しく涙あふれる場面もあった。「何かをつかんで一歩前進!」それでいいのだと思います。
その後それぞれのグループで、われわれは浅野さんの案内で屋台をぶらつく。私の浴衣姿が珍しいのか、街の画家がスケッチをしてくれました。ありがとう、来るたびにいろいろな出会いを経験することができました。
・Cam On(ありがとう)
今回のツアーもすべて順調に準備ができたわけではありません。
スケジュール、人員確定、研修等ツアー直前まであわただしく、皆さんが協力し作り上げたものです。カンザでの「日越青少年友好の森」、協働による森つくり、マングローブ植林による自然環境保全への微力ながらの参加、ベトナムという異なった文化との交流、お互いを理解すること。
私たち「南遊の会」決して大きな組織、充分な財源を有しているわけではないが、HCM市、カンザ県、森林組合、ホンバン大学、また、今年からJICAの草の根技術協力事業と認められ、地道ながら一歩、一歩と前進している。
今年のツアーも会員の皆様、中京医薬品、YMCA、そして参加者のバックアップにより、いっそうの絆を築くことができたと感ずる。
より「南遊の会」を皆さんで支えていただき、森と異文化交流を同じように育てていきたいと思います。ツアー参加者、全員無事名古屋に帰って来た。
皆さんご苦労様でした。 |
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小木曽 圭 |
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私が南遊の会、スタディツアーを知ったのは新聞の記事でした。
日程があいていたし、外国へ旅をしたかったと言うことと、ベトナム料理、雑貨に興味があったという単純な理由から参加することを決めました。
植樹は3日間という短い期間でしたが、想像以上にたいへんなものでした。
普通に歩くにもたいへんな足場が悪い土地を苗を持って運ぶ、ほんの何メートルでしたが、それだけで体力を奪われました。そのつらい作業を日本人、ベトナム人がともにおなじ目的を持って、一緒に植樹できたことで、さらに交流が深まったと思います。
ほんとうにたいへんな作業でしたが日本にいたら絶対に体験できない貴重な経験ができ、ほんとうに良かったです。
誰からともなく歌い出したり、冗談を言い合う。そんなベトナム学生達はみんなが純粋で優しかった。それがすごく自然に当たり前のように出てくるやさしさでした。そのベトナム人の自然体なものに感動し、また見習いたいとも思いました。
植樹、クチ観光、小学校訪問、1日ホーチミン観光、さよならパーティー、ミトクルーズ,……。9日間ベトナムで生活してきましたが、1日1日がとても中身の濃い、忘れることのできない9日間になりました。1日目の夕食の時、香草たっぷりの生春巻きを食べながら、あと1週間ベトナムで過ごせるかなあと不安がよぎることもありましたが、一緒にこのツアーに参加した日本人、ベトナム人のメンバーがこのメンバーでほんとうによかったと思います。毎日、笑わかせてもらいました。
このツアーに参加してベトナムの生活、大自然にふれることができ、ベトナムの魅力にはまり、ベトナムが好きになりました。マングローブの成長した姿もぜひ見に行きたいと思います。 |
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ベトナム感想文 |
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南山大学総合政策学部総合政策学科 佐々木 裕 |
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今回のツアーに参加して印象に残ったこととしてベトナム人学生との交流が強く印象に残っています。ベトナム人学生の人に対する優しさやベトナムの習慣など色々と勉強になることが多くありました。日本語を勉強している学生ということもあり、会話をしながらベトナム語を教えてもらい、日本語を教えたりと会話をしながら言葉の勉強もしました。時には辞書を使い自分の思ったことを伝えるということもしました。挨拶など簡単なベトナム語しか覚えることしかできませんでしたが、ベトナム人学生と交流し、ベトナム語を少しでも学ぶことができ、よりベトナムという国に興味をもつきっかけになりました。外国の方との交流では日本とは違う考え方を学んだり、生活習慣を知ったりと自分の知識を広げる上で大きなものとなることを改めて認識しました。
植林に関しては今までのイメージはただ木を植えていくだけの簡単な作業というイメージをもっていましたが、予想以上に大変な作業でした。植林初日には疲れ過ぎていて、ホテルまで帰るボートやバスの中の記憶がありませんでした。私達が植林を行った場所の近くに前年のツアー参加者の方が行った植林の場所があり、そこに植えられていた木が成長しているという話を聞き、私達が植えた木も同じように成長していってくれることを考えると、少しでもベトナムの環境に貢献できたのではないかと感じることができました。
その他に、ベトナムの子供達とサッカーをしたことやベトナムの文化に触れたことや、日本人同士でも、普段は接することが少ない社会人の方と話す機会が多くあり、ツアーに参加したことで一般的な旅行では体験することのできないことを多く体験することができ、とても良い経験になったと思います。 |
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ベトナムスタディーツアーの感想 |
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鈴木智子 |
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スタディーツアーに参加してほんとによかった!
というのが私の一番率直な気持ちです。
ベトナムでの10日間は毎日が充実していて大変有意義なものでした。
他の観光ツアーや個人旅行では体験できないことやわからなかったような貴重な経験ができました。
私はツアーの前はベトナムの言語や文化などについて、特別な本を読んだりしていなかったので何もわからず、ぼんやりと曖昧なイメージしか抱いていませんでしたが、その印象はがらりと変わりました。まず、ベトナムは人も街もとにかく活気があるなと思いました。早朝から公園で多くの人が元気に体操やバトミントンをしている光景に大変驚かされました。また何よりも次から次へと行き交うバイクにはいったいこの人たちはどこに向かい、何をしようとしているのかと圧倒されました。初めは道路を横断することに足がすくみ、タイミングをはかるのに命がけでしたが、バイクに序々に慣れるにつれてベトナムにも馴染んでいったと思います。
ベトナムについて最も多くのことを知ることができたのは、ベトナムの学生との食事やバスでの移動のときや食事をしたときの会話でのコミュニケーションだったと思います。「あれは〇〇の木だよ」という何気ないやり取りなどすべてが新鮮でした。話せば話すほど日本との相違点を発見し、日本についても色々と見つめなおすきっかけになりました。
最後に、今回のツアーは多くの人々の協力があったからこそすばらしいものになったと思います。ベトナムスタディーツアーに関わったすべての方々に感謝します。 |
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笑って泣いたベトナムスタディーツアー |
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南山大学 総合政策学部 田原 あやか |
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私がこのツアーに参加したのは、たまたまこの新聞記事を見て興味が沸いたからでした。といっても植樹も海外も初めてだったので、不安はかなりありました。でも大学三年の夏ということでこのようなツアーに参加できる機会も今後そう無いのではと思い、思い切って参加することにしました。
帰国してからもう一ヶ月近くが経とうとしていますが、今でもベトナムで仲良くなった学生達とはメールも電話もしていて、みんなのことを想う日々です。行く前は長いと思っていた10日間はあっという間で、毎日が充実しとても楽しい感動の日々でした。
私の中で一番大きかったのは、ベトナム学生や日本人メンバーの皆さん、現地の子ども達など多くの人たちと出逢い、交流を深めることが出来たことでした。
ベトナム学生とは、言葉の壁もあるし文化や習慣も知らなかったので、出逢った時は何から話したら良いか分かりませんでした。ペアになったクエンさんも初めは私と同じような気持ちだったようで、恥ずかしそうにしていました。でも彼女をはじめベトナムの学生は初対面の私にとても親切にしてくれて、カンザの植樹地で歩きにくいところでは荷物を持ってくれたり、さりげなく手を引いてくれたり、食事の時には器におかずを取ってくれたり…と、挙げだしたら切りが無いほどたくさん親切にしてくれました。日本人同士なら初対面でそこまで相手に尽くすことが出来ないし、出来るだけ自分だけでやろうとします。そこが文化の違いなのかなと思い、私も彼らに出来ることをしようとしたのですが彼らは簡単に人に甘えたりはしませんでした。それは少し切なかったのですが、そんな彼らには学ぶことがたくさんでした。
また、彼らはかなり勤勉で勉強中の日本語で一生懸命話してくれ、日本の歌も結構知っていたので私も彼らと仲良くなるためにも一緒に歌いました。この時、歌が国境を越えて私達の距離を縮めてくれたことも実感しました。私はベトナム語も英語も出来ないので意思疎通は簡単にはいかず、語学を学ぶことの大切さを痛感しました。でもその代わりに、日本ではそこまで顔に出さない感情が表情や態度にダイレクトに近い形で出るようになっていきました。特に『さよならパーティ』では自分でも驚くほど涙が止まらなくて困るくらいでしたが、打ち解けていくと同時にベトナム学生のジョークも多くなっていきました(基本的にベトナムの人は冗談が多いみたいです)。
彼らのジョークはその場の雰囲気を明るくし楽しませてくれます。だからみんなといると本当に笑いが絶えませんでした。ベトナム学生同士は家族のように仲がよくて、それに影響されてこのツアーで知り合った日本人メンバーもみんな仲良くなれた気がします。友情や愛情をもって交流を深めることが、いろんな意味で人を豊かにするということを肌で感じました。そんなベトナム学生と一緒だったので、過酷だった植樹活動やホテルでの水不足など、辛いことも全て彼らのおかげで楽しさに変えることが出来ました。このツアーはベトナム学生との交流なしではこれほど良い経験はありえませんでした。
カンザ−での植樹活動では、虫除けのため(残念ながら蟻に一度噛まれましたが…)ダイエットスーツまがいの作業着で三日間苗を一本一本植え続け、自然の大切さが身にしみる日々でした。私達が植えた苗の成長をいつかみんなで見に行きたいです。
日本人メンバーの皆さんも、優しくてユニークで本当にいい人達ばかりでした。私が体調を崩しかけた時も色々とお世話になり、ありがとうございました。
日本を外側から見ることで自分の小ささをすごく感じたけど、かけがえの無いものを得ることが出来、今後の人生の糧となると思います。ベトナムの学生達とは、これからもメールなどを通してますます絆を深めていきたいです。ベトナムの歴史や文化、経済などを勉強すると同時に、日本のことももっと勉強して、彼らと再会したらちゃんと紹介できるようにしたいです。
最後に、このような素晴らしい機会を設けていただいた南遊の会のみなさん、中京医薬品の方々、このツアーで出逢った全ての皆さんに、心から感謝します。本当にありがとうございました。 |
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カンザから日本を見る 当たり前のことが当たり前のように |
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戸嶋 啓夫 |
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2004tour無事終了。当たり前のこと、しかしこのこと、第1義的に重要なことであり、無事に帰って、それでいいのである。
カンザ→→ホーチミン→→名古屋と戻って来るにつれ、だんだんと水が自由に使えるようになり、われわれはホッとしたものだ。栓をひねるだけでこれだけさわやかな、時には熱い水を自由に使うことができる、旅の中でのまぎれもない実感である。
「文明はいい、名古屋のわが家はいいところだ」と思ったものだ。
ホーチミン市のホテルもお湯の出るバスがあり、クーラーも利いていて、かってのHCMを知っている者としては毎年毎年、急速に変わっていく街の様子に感心したり、感慨に耽ったり。HCMにも、さらにはカンザにもこういう設備ができ人々もそれを享受し、それに慣れる、それが文明だろうと思う。それが人間の進歩というべきものだし、多くの人にそうなってほしいと思う。
さて、で、それでいいのか?と、
ふと疑問に思うと、それを見る目が複雑になってくる。どちらが地球にやさしいのか?と。
今の日本のような水の使い方がいつまで保障されるのか?イヤ許されるのか?
貧しい国があるから、申し訳ないからと同情することも、しないよりはましかもわからないが、そうではなく、生まれた国、生まれた場所によるこの不公平をどう考えていけばいいのか?
さらには持続可能な生活、環境のためには「どこが基準になるべきなのか」
案外カンザでのような水の使い方が地球にとって一番必要な量なのかもわからない。
最近、「1秒間にサッカーコート1面分の緑が消えている(田中章義 編)」という本で、フィリピンの子供が「地球の母さんに」という手紙を書いたものを読んで感動した。その一部を紹介すると『私たちの母である地球はとても美しいです。だから私たちもそんな地球が大好きです。お母さん、様々なものから私たちを守ってくれてどうもありがとう。私たち人間や動物や植物が仲良く暮らせる地に対して感謝します。すべてにありがとう。……』「母さんありがとう」という言葉がいっぱい出てくる。
そんなことが当たり前のことになるようにと考えさせてくれる旅であった。
※カンザのようなマングローブデルタ地域は、水は天水に頼るほかはない。
ベトナムでの出来事
「ホテルの洗面台が落ちる」そんなこと誰も予想しないだろう。
それが落ちた。いとも簡単に。それは夕食前の出来事。
水が噴き出し、あたりはびしょぬれ。あわてて押さえようとしてその重い陶器
の角で指を切る、血が流れ、水たまりが真っ赤に染まる。
しかしそこからがすごかった。若奥さんがとんできて、すぐに消毒をして絆創膏
を貼ってくれた。ひとことも非難がましいことも言わず、旦那さんは応急手当を
して、どこかに連絡し、パーティが終わって部屋に帰ったときにはもう新しい
洗面台に取り替わっていた。
街の中にきっと職人さんが居て顔なじみ、すぐに来てすぐに直す。
そんな厚い人間関係が成り立っているベトナム人社会。
日本ならどうだろう?
食事の間に洗面台が取り替えられるか? |
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2004study tourに参加して |
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八木 亮 |
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まずこのstudy tour参加し、貴重な体験をすることが出来た事に感謝しています。
今回のツアーは会社のボランティア活動の一環として参加させていただき、これからの自分にとっても意義のあるものにさせるよう望みました。その中のひとつとして自分を変えるというテーマで向かいましたが、漠然としていた部分が多くありました。しかし体験することで「壁を乗り越える」という貴重な答えを見つけることができました。
人とのつながりという面でもペアの学生と文化も言葉も習慣も違うなかで、お互いにより良い環境で作業・生活をするために五感をフルに使わないと通じ合えないというのに気付き、お互いに苦しみ・喜びを感じ合えることができました。今までの生活が言葉に頼りすぎていること、ゆえにうわべだけの伝え方になっていたのだと気付くことができました。コミュニケーションに対しても現地のひとに対し、外国から来た人という壁をとり、良い関係でありたいために、コミュニケーションをとろうとしたのですが、特に子供は警戒心が強く近ずくのも容易ではありませんでした。カメラを通してや、現地のしていることや、遊びと同じ事をすることによりお互いが近くなることができました。コミュニケーションも同じ目線に立つことで、心を開いてくれるということを改めて感じさせられました。こういった心のつながり「絆」があったからこそ、最後の別れもつらいものになり、そのつながることができた方々の大切さを感じることができました。
あと普段の物・事を当たり前のものとしてとらえていた事に恥ずかしく感じました。3度の飯を食べる事が出来ること、水を使えること、健康でいられること、働く環境があること等、なくして初めてありがたさに気付くものですが、それすら気付けずに生活していたと思うと恥ずかしく思います。
ここで体験できた事、気付けたことはこれからいろいろな壁を乗り越えるための糧となる10日間でした。このことをこの時点で終わらせないためにも、継続的のものにするためにも、伝えること・続けることをしていくようにしていきます |
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ThanhNien紙掲載記事 |
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今回の第3回マングローブ植樹studytourでは、ベトナムの若い人に人気のある『ThanhNien(青年)紙』の、ビックユェン記者は2日間密着取材して、上記の記事を8月27日に、同紙に掲載してくれました。彼女は「ベトナムにはもっと環境を専門にしている大学もあるのに、なぜホンバン大学だけなのか?」と質問。私たちは「はじめの一歩がホンバン大学だったのです。今後この記事を見てより多くの若者が関心を寄せてくれたらうれしいです。と答えました。年々交流と植樹の輪がひろがっていくようです。
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環境: 誰が誰に学ばなければならないのか!(上記掲載記事の訳文) |
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「シンガポールを訪問したとき、街が本当に清潔で、私はとても興味深く思い、大変驚きました。それに比べて私の国では、近代的で発展している国という評価があるにもかかわらず、まだ路上へのゴミを投げ捨てる人々を見かけます。私は、自分の国をより清潔にするために貢献したいです。」と佐々木裕さん(南山大学4年生)は語ってくれました。
佐々木裕さんの同級生の浅井徹さんも次のように語ってくれました。「私は緑が豊かな地方で生まれました。しかし、私が大きくなる頃には緑は失われていき、代わりに高層ビルや工場が増えてきました。私は環境について学ぶことにしました。」そして、それは「南遊の会」に所属する25名の学生(その多くは南山大学で環境について学んでいる)がベトナムに来てカンザーマングローブ自然保護区での植林に参加した理由でもある。
ロンホア三差路(カンザー)から3時間かけて、22名のベトナムの学生と共に、"日越青少年友好の森"の一角に到着しました。非常にきつい日差しにも関わらず、みんなは一生懸命働きました。3日後には、彼らは5ha近くを植林することができました。植えた木は、1,500本のヒルギモドキ、2,500本のオヒルギ類、2,500本のIntsia bijugaなどです。植林の他に、日本の学生達はグループに分かれて、地図を頼りに数年前に植えられた木を探し、その生育を測りました。マングローブ林の中で見慣れない種子を見つけると、研究のために採集して持ち帰りました。
「日本では日増しに多くの人が電化製品を路上に捨て置き、それを阻止するための税金対策もないので、電化製品のゴミ問題について尽力したい。」と佐々木裕さんは話してくれました。中野通子さんは「緑を増やすことは喜びを増やすことです。」とつぶやきました。2年連続で日本人学生との植林に参加したTran Qui Loi(ホンバン大学)は、「私は日本の友人から多くのことを学びました、なぜなら、彼らは私と同年代でありながら、成長した人々のように考えたり行動したりするからです。」と語ってくれました。また、櫻井靖彦さん(南遊の会)は、次のように教えてくれました。「私達はベトナムから学ぶためにここにやって来ました。2年前、私達はホーチミン市農業局から"日越青少年友好の森"を作るための50haの土地を提供されました。計画によると、10年で完成するはずでした。しかし、日本政府からの支援でここの森は、あと2年で植え尽くされるでしょう。」彼は、もっと多くのベトナムの若者の参加を望んでいます。
しかし、植林に参加したとき少しでも環境汚染を減らそうと、日本の友人達が灰皿入れやゴミ袋を持参してきているのに、数人のベトナムの学生はペットボトルを森の中に捨てていた。交流や学習を一番の目的におきながらも、日本の友人達はいつも環境に対する具体的な行動をしていた。それに引き換え、植林ツアーに参加した22名のベトナムの学生達は、たぶん半数以上がツアーの目的は、流行りの活動ができて楽しいとのみ思っていたのではないだろうか。
考えてみよう、「誰が誰に学ぶべきか!」
Bich Uyen
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ベトナム、カンザー地区マングローブ再造林プロジェクトの3年目の状況報告 |
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石原修一(駒場東邦中高校、南遊の会)
藤本潔(南山大学・総合政策、南遊の会)
井上いつか(南山大学・総合政策・院)
Vien Ngoc Nam(Forestry Department of HCMC)
Cat Van Thanh(The People Committee of Can Gio District)
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カンザー地区のマングローブ林は、1964?1970年にかけて散布された枯れ葉剤によって壊滅的な被害を受け、マングローブ林の57%が消失した(Ross, 1975)。荒廃した土地では、戦時中にもかかわらず積極的な植林が行われ、さらに1978年以降に行われた大規模な植林事業によって、ほとんどの土地が再びマングローブ林に被われるまでになった。しかし、一部の地域では立地条件に適さない樹種や外来種(Eucalyptus sp.)が植林され、未だ十分な植生回複がみられない。また、特定の一種のみを植栽したことで、種組成や林分構造が画一化し、多様性の乏しい林分も認められる。このような不成績造林地を本来の多様性に富む生態系に回複させるための再造林事業が、ホーチミン市農村農業開発局とNGO「南遊の会」によって、2002年度から実施されている。また、今年度、この事業がJICAの草の根技術協力事業として採択され、当初目標の50haの再造林を今後3年間で完了することとなった。
事業契約を結んだ地区は、最も内陸側に位置する24区で、とくに潮位が高くなる7?8月の数日間のみ冠水する。この地区は戦後の植林時に、比高数十cmの直線的な微高地を数m間隔で人為的に設置し、凸部にユーカリ(Eucalyptus sp.)、凹部にNypa fruticansを、それぞれ植栽していたが、現在は、薮状の典型的な不成績造林地となっている。再造林地では、2002年度に、Ceriops tagalとLumnitzera racemosaの2種、2003年度に、C. tagal、L. racemosa、Bruguiera gymnorrhiza、B. sexangulaの4種、2004年度にL. racemosa、B. gymnorrhiza、B. sexangula、B. cylindrica、Intsia vidugaの5種をそれぞれ植栽した。凸部にはL.racemosaやIntsia viduga、凹部にはC. tagalやBruguiera sp.を植栽している。なお、個体数は少ないが、C. decandraやAvicennia officinalis、Sonneratia ovataなどの自生したマングローブ樹種は、植林前の整地の際に伐採しなかったため、今も残存している。また、伐採されたNypa fruticansのほとんどの個体は栄養繁殖によって再生していた。
2002年度、2003年度の植林地に、植林された苗の成長過程をモニタリングするために、10×30uの固定プロットを1ヶ所ずつ設置した(VCG-02およびVCG-03)。プロット内に生育する全植物種を記録し、木本種については、樹高および胸高直径(樹高1.3m以上のみ)を測定した。また、堆積物の不撹乱コアを採取し、地下部炭素・窒素蓄積量を見積もった。
VCG-02における立木密度は、前植栽種のNypa fruticansが2,600/ha、植栽種のC. tagalおよびL. racemosaがそれぞれ5,233/haおよび1,133/ha、自生種のC. decandraが2,033/haであった。C. tagalの枯死木は、2002?2003年で67/ha、2003?2004年で600/haであった。L. racemosaの枯死木は認められなかった。C. decandra、C. tagalおよびL. racemosaの相対成長量は、それぞれ156.4±18.4%、158.5±20.2%および136.2±24.6%であった。VCG-03における立木密度は、Nypa fruticansが1,833/ha、C. tagal、L. racemosa、B. gymnorrhizaおよびB. sexangulaが、それぞれ500/ha、467/ha、467/haおよび67/ha、C. decandraが2,667/haであった。植栽木には、どの種も枯死木が認められなかった。
2002年度および2003年度に行った植林は、現在のところ良好な状態を維持している。今後も、地上部成長過程および地下部有機物蓄積過程のモニタリングを続けて行く予定である。 |
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