現在地:トップページ > スタディツアー > ツアー概要

ベトナム・スタディツアーとは?

スタディツアーとは,一般的に,単なる観光目的の旅行ではなく,NGOをはじめとする国際協力活動の現場を訪れ,体験学習を通じて現地事情や相互理解を図ることを目的とするツアーのことです。情報としてしか持っていなかった教育や環境などの問題を実感・体験できるメリットがあります。

南遊の会のスタディツアーは,会が行っているマングローブ林保全事業への参加,また,日本とベトナム,相互の理解・友好を深めることを目的として,毎年夏にベトナム国ホーチミン市を中心に旅行を行っています。具体的には,現地の学生と協働してマングローブ林の保全事業に取り組んだり,平和について学んだり,現地の小学校(寄宿舎)を訪問したりします。

最終日見送りに来たベトナム人学生と参加者

最終日見送りに来たベトナム人学生と参加者

さよならパーティーでのひとこま

さよならパーティーでのひとこま

行程内容
1日目 名古屋・成田からホーチミンへ(飛行機)
2日目 午前:戦争証跡博物館見学
午後:スタッフによる市内案内
3日目 ベトナム人参加者と合流,植林地のあるカンザーへ(バス)
カンザーマングローブ保護林管理委員会で事前学習,粗放的なエビ養殖池見学
4日目 植林1日目:日越青少年交流の森にてメンテナンス作業
午後:フリー
5日目 植林2日目:放棄塩田で植林
午後:フリー,夜:討論会
6日目 植林3日目:放棄塩田で植林
午後:フリー
7日目 ヴァムサット公園見学(野鳥観察など)
カンザーからホーチミンへ(バス)
8日目 ベトナム人学生による市内案内
さよならパーティー
9日目 終日フリー
サイゴン川ディナークルーズ
10日目 ホーチミンから名古屋・成田へ(飛行機)

※ 上記は2018年スタディツアーの日程です。実施年度によっては行程が異なることがあります。

「information」を「intelligence」に,参加者にとってきっと一生心に残る実りあるものになるでしょう。

ツアーの3つのポイントを紹介します。

ポイントその1 環境保全活動を実践する!

植林中の様子

植林中の様子

植林活動においてわたしたちが何よりも重視しているのは継続した森づくりです。森がなくなってしまった原野にただ苗木を植えるだけでは森は回復しません。一度失ってしまった森を人の手で回復させるには人間が手入れし続けなければなりません。

わたしたちは2006年に目標としていた50haへの植林を終えています。この土地をかつてあった豊かな森にするためには今後もメンテナンス活動が欠かせません。メンテナンスでは枯れてしまったマングローブの補植やマングローブの成長を妨げるニッパヤシの伐採を行います。これは,過去のツアーの参加者に言わせると,慣れない気候の下での作業ともあって,植える以上に大変な作業です。

ツアーの参加者は,環境保全活動の過酷さを,文字通り身をもって知ることになります。このわずか50haだけの森を育むという活動を通じて,ツアー参加者は,森づくりの大切さひいてはエコ活動の重要さ,苦労を学ぶことになります。

ポイントその2 異文化を体験し,友好を深める!

植林作業の合間に

植林作業の合間に

このスタディツアーは,単に日本人だけで植林を行うのではなく現地の若者と一緒に行います。もちろん彼らは作業のプロではありませんし,彼らのほとんどがこうした作業を行ったことがありません。彼らも自宅やアパートを離れて,わたしたちと寝食を共にします。異なった文化・考え方を持つ彼らと一緒に過ごすことによって得るものがあることでしょう。

ツアーに参加する前には言葉が通じるか心配だと仰る方がみえます。わたしたちと提携している現地の大学の日本語学科の学生が中心に参加しますので,ある程度の会話はできます。そのため,コミュニケーションに困ることはほとんどありません。逆に現地学生から日本語でいろいろ質問されてタジタジになっているツアー参加者もいます。ツアーが終わっても連絡を取り合ったり,別の機会に個人的に会いに行く参加者もいます。

このツアーを通じて参加者の今後の発想・考え方,大きく言えばその生き方のヒントが得られることになると信じます。

ポイントその3 平和について学ぶ!

枯葉剤によって破壊されたマングローブ林

枯葉剤によって破壊されたマングローブ林

現在のカンザーのマングローブ林

現在のカンザーのマングローブ林

そもそもこのツアーのフィールドであるホーチミン市カンザー県とはどのような場所なのでしょうか?ここにはかつて広大なマングローブの天然林が広がっていました。しかし,ベトナム戦争時に南ベトナムの首都であるサイゴン(現ホーチミン)に近いこの地を共産ゲリラが拠点にしていたことから,大量の枯葉剤が散布されました。その結果,天然林の57%が破壊されました。

戦後早くから植林活動が行われ,2000年当初にはユネスコにより生物多様性保存地域に指定されるまでに回復しています。しかしながら,成長の早さと経済効果の高さで選定し植えたユーカリなどの樹木はこの地に適応性がなく,本来の自然林に程遠い状態となっており,この地に生育していた在来種のマングローブに植え替える必要性があります。わたしたちの活動は,マングローブ林の復旧と長期的な保全を図ることを目的としています。

また,現地学生と行くホーチミン市の市内観光などで多くの戦跡を見ることができます。こうした活動から平和とは何か考えることができます。