『カンザーの鳥』販売についてのお知らせ

南遊の会では，毎年8月下旬に行なっているマングローブ植林活動「スタディーツアー」に参加すると見ることのできるホーチミン市カンザー地区の鳥を，フィールドガイド「カンザーの鳥」としてまとめ，出版しました。

極めて限られた地域，時期の鳥に関する情報しか掲載されておりませんので，日本での実用的な利用はできないかと思います。ただ，見て楽しめるイラストで構成しておりますので，絵本として手に取っていただけると幸いです。

本書出版の経緯

～『カンザーの鳥』巻頭言より～

ホーチミン市南東に位置するカンザーは36,000ヘクタール以上のマングローブ林を有する自然豊かな地域で，森林公園やヴァムサット塩性湿地林エコツアーゾーンなどを擁する観光エリアとなっている。

しかしながらその歴史は苦難に満ちたもので，ベトナム戦争（抗米救国戦争）時，マングローブ林は南ベトナム解放戦線の兵士たちの絶好の隠れ家となっていたため，アメリカ軍の枯葉剤散布や爆撃によって一度は生態系が壊滅した。そして戦勝後，行政機関とホーチミン市民によりマングローブ植林活動が精力的に実施され，日本を含む諸外国の団体が協力した。戦後20年以上を経てカンザーのマングローブ林は一定の生態系を回復し，2000年にはユネスコの「人間と生物圏計画」に基づく生物圏保全地域に指定されるに至った。

本書は，2002年よりカンザー地区で不成績造林地の再生事業を支援してきた名古屋のNGO南遊の会の主催する「スタディーツアー」参加者のために作られたものである。スタディツアーは，開始当初，日本とベトナムの若者が寝食を共にして協働することで絆を深めることを目的にマングローブ植林活動を行うものであったが，近年では環境学習としてのエコツアー的な要素も組み込まれるようになった。本書はそのようなニーズに対応するため，参加者の鳥に対する興味を喚起する目的で出版された。したがって掲載種は，ツアーの行われる8月にその訪問地で見られる代表種に限定してある。より詳細な情報はp.5に示した参考文献を参照されたい。

最後に，国家の体制は違えど，アジアの安定，平和，持続的な発展に重要な役割を果たす日本とベトナムの友好関係が，より深く，そして末長く続くことを祈念し，南遊の会の活動がその一助となることを強く願うものである。

2019年8月　越山洋三

販売方法など

送料を除いた金額を南遊の会への寄付金として処理し，その全額をカンザー地区におけるマングローブ植林活動に活用いたします。

南遊の会の植林活動へのご理解ありがとうございます．どうぞよろしくお願いいたします。